シャント(バスキュラーアクセス)手術
シャント作製後、シャント管理を行い、問題があれば早急にPTAなどのシャント修復を行っていく事は、安定した血液透析を継続して上で最も重要な要素のひとつです。 現在、バスキュラーアクセスには4つの種類があります。当院では下記の方法で透析している患者様がいらっしゃいます。
- 自己血管内シャント(一般的な内シャント)
以下は1.の手術が出来ない場合に選択します。 - 人工血管内シャント(グラフトともいわれます。)
- 動脈の表在化(主に上腕動脈)
- 透析用カテーテル留置
1内シャント作製(造設)術
『内シャントとは』の項目を参照ください。
自己血管で行い、シャント作製します。
主に腕の手首に近い静脈、動脈をつなぎ合わせます。一人に対しての静脈の長さは限界があります。いかに今あるシャントを維持するかが大切です。
自転車と同じでタイヤの空気をいれたりなどのメンテナンスと同じで静脈の穿刺や弁などによる狭窄ができた場合は血管を拡げるPTA(風船で拡げる治療)で再度、穿刺ができるように救済処置を行います。患者様によっては20年も同じシャントで透析を行っている方もいらっしゃいます。
2グラフト移植(造設)術
グラフトというのは5mmから6mmの太さで中が穴のあいた筒状の人工血管のことをいいます。素材は登山などの防水用のGORE-TEX®(ゴアテックス)というテフロンやポリウレタンという樹脂を用いたものなど多数あります。
一般的なグラフト造設(A-V(動脈-静脈)グラフト)
自己血管がない場合、穿刺する場所がなくなります。その際、人工血管を入れることによって、穿刺する場所が増えます。
図1 | グラフト(橙色)をループにして人工血管のどこでも穿刺が可能にしたりします。(ループ型) |
---|---|
図2 | ストレート型 |
グラフトバイパス術(V-V(静脈-静脈)グラフト)
PTAを何度もしても同じ場所で再狭窄を起こす方や穿刺場所がなく、限られてしまう方に関しては静脈と静脈を人工血管でつなげるバイパス術(迂回路)を行います。
3動脈表在化
心臓が悪い方は内シャント作製することによって心臓に戻る血液量が増え、心臓の負荷が増してしまうため、脱血(動脈)側を作製する必要があります。
動脈は大切な血管ですので目でみえない場所、深い場所に存在します。毎回穿刺することは非常に難しく、動脈なので痛みも伴いますので皮膚に近い場所に持ち上げる手術が必要です。(右図参照)
欠点としましては止血に時間がかかること、動脈瘤、血腫を作りやすいことなどがあります。
作製した後は約2週間以上(できれば3週間)待ち穿刺を行った方が良いと言われています。また、返血は通常の表在静脈(皮膚に近い)で血液を戻します。
4透析カテーテル留置
自己動静脈またはグラフトによるシャントが作製不能な症例では、長期型バスキュラーカテーテルを内頚静脈に通常留置し、皮下トンネルを形成して感染や引き抜き事故を防止する。様々なカテーテルがあり、最大の問題点は感染、血栓形成です。
以上のバスキュラーアクセスが主なものです。当院で行える手術は1~3までで、4に関しましては入院が必要になります。