健診で指摘される『腎臓のかたちの異常』で次の4つが多く指摘されます。
1腎嚢胞、2水腎症、3傍腎盂囊胞、4腎外腎盂の4つです。
特に1、3、4は痛みがない病気です。
1腎嚢胞 Renal cyst
- 人間ドックなどの健診の超音波で偶然みつかる病気。その判定がD判定で泌尿器科への受診を勧められることがあります。
症状
腎嚢胞だけでは何も症状はありません。
一般的に良性腫瘍で問題ないです。
検査・診断
尿検査、血液検査も必要ですが、嚢胞のチェックは超音波検査です。
嚢胞は球状であるものが多いのでエコーの見え方によって少しサイズの差があることがあります。
CT検査では小さな腎嚢胞(5mm以下)は発見できないことがあります。
なぜ健診で『D判定』であったのか?
→悪くなることがあります。ひとつは嚢胞が大きくなる場合があったり、嚢胞の数が増えたりすることがあります。まれではありますが良性の病気である嚢胞が癌化(悪性化)することがあります。超音波検査がないとわかりません。その種類の中には多発性嚢胞腎※1といい、遺伝性の病気があり、時に腎不全となり血液透析が必要になることがあります。
用語補足
※1 多発性嚢胞腎(常染色体優性遺伝)
2水腎症 Hydronephrosis
健診では、「腎臓がはれています」と言われて来院する場合があります。
水腎症とは尿管が何かの原因で尿の流れが悪くなったことで、腎臓で作られた尿が(腎盂内)たまって、腎臓が悲鳴をあげていることが、腰の痛みとして現れることがあります。
原因としては尿管結石、尿管腫瘍などがありますが、生まれながら腎盂尿管移行部狭窄といい尿管と腎盂のつなぎ目の狭い方もいます。
通常、水腎症は左右のどちらかですが、排尿ができないこと(尿閉)で、両方の腎臓が水腎症になってしまう方がいます。その場合、腎不全といい、緊急的な処置が必要な場合があります。
3傍腎盂囊胞 Parapelvic cyst
腎囊胞は腎皮質から外側に向かって突出していることが多く、その診断は通常容易です。しかし、腎盂に接するような位置に嚢胞(みずぶくれ:異常ではありません)が存在すると、超音波で腎盂拡張と見誤ることがあります。まれには、これが腎盂を圧迫することによって水腎症を合併することもあります。その場合はCTを施行すれば両者の鑑別ができます。